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お知らせ
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『ウチの江戸美人』書籍発売記念!
作者いずみ朔庵さんにインタビューしました!

2021.09.27

本日いよいよ『ウチの江戸美人』書籍が発売開始となります! 今回のFOCUSでは、『ウチの江戸美人』書籍をより深くみなさまにお楽しみいただけるよう、作者・いずみ朔庵さんのインタビューを紹介します。この作品がうまれた経緯や制作の裏側に加え、いずみさんが考える江戸文化や着物・ファッションの魅力、さらにはこのインタビューのための描き下ろしイラストも掲載していますので、ぜひ最後までご覧ください!

―「ウチの江戸美人」は、"江戸時代の化粧やよそおいをもっと身近に感じてもらえるような楽しいマンガをHPに連載したい"というポーラ文化研究所の思いから、いずみさんにお声がけして企画が始まりました。依頼があってから、実際にはどんなふうに発想していったのでしょうか?
江戸時代の人々も現代人とそう変わらないと思っていて、イベントがあれば行列を作るし、ゴシップも大好きです。同じように、江戸時代の女性たちもおしゃれなどを楽しんでいたのだろうなと想像した時に、それなら同年代の女性2人に、時空を超えて一緒に暮らしてもらい、今と江戸の違いを比べてみたら見た目にもわかりやすく、おもしろいのじゃないかと思いました。

―SNSで「江戸美人ちゃんと現代女子ちゃんの関係にほっこりする」などの感想をいただいています。登場人物やストーリーを考える際に意識していることはありますか?
いつもご感想をいただきありがとうございます。各話ごとにテーマがあるので、それらを絡めつつも不自然なストーリーにならないように気をつけています。また、1コマ漫画で見せるシーンやセリフはそこだけで完結させず、前後を想像できるような「中途半端さ」を意識しています。

―WEB連載を書籍化するにあたって意識したことや、読者の方に楽しんでいただきたいポイントは?
WEBの連載では1コマで世界が完結しているので、このシーンの続きはどうなったの?というようなことを描きたい!という思いがずっとありました。今回はその部分を4コママンガにして、皆さんにも楽しんでもらおうと思っています。4コマの方は5等身で描いているので絵柄もかわいいですよ!
そして、ポーラ文化研究所さんのご協力のもと、連載時のテーマについてさらに深く掘り下げた解説も入れています。江戸の化粧文化をもっと知りたい方にもぴったりです。

5頭身バージョンの江戸美人ちゃんと現代女子ちゃん5頭身バージョンの江戸美人ちゃんと現代女子ちゃん

―WEB連載は9月で69回を迎えますが、これまでの連載で特に気に入っている回はありますか?またその理由をお聞かせください。逆に苦労したところがあれば教えてください。
そうですね...28回「腕守り」の、腕守りをもらってはしゃぐ現代女子ちゃんが好きです。このあたりから二人の関係性が少し変わったような気がします。40回「土用の風物詩」に漂うのんびり感もいいですね。
苦労したところは、現代女子ちゃんの服装です。なるべくおしゃれにしてほしいというオーダーがあったのですが、私が流行に疎くてよくわからなくて...。最近は、街に出るとどんな服装が流行ってるのか、ショップや道ゆく人をチェックするようになりました。江戸時代と違って現地取材できるのはありがたいですね。

連載28回「腕守り」連載28回「腕守り」

連載40回「土用の風物詩」連載40回「土用の風物詩」

―いずみさんが江戸時代に興味を持ったきっかけをお聞かせください。どういった点にはまり、どのように発展してきたのでしょうか?
子供の頃に観たテレビ時代劇がきっかけです。そのうち、一部の作品は原作があることを知って時代小説を読むようになったのですが、時々昔の言葉や道具が出てきて、それが何か知りたくて、今度は時代考証に興味を持ちました。また、それまではイラストもごく一般的なものを描いていたのですが、時代考証を知ることにより時代絵が描けるようになり、結果、江戸好きなイラストレーターのような立ち位置になってしまいました。

―いずみさんご自身が、江戸時代と今を行き来しているような存在だと感じますが、今を生きるいずみさんと江戸時代の関係はどんな形なのでしょうか?
そう見えていたら面白いですね。確かに私にとってはあまり境目がないかもしれません。よく、歴史上の人物で誰が好きか?と聞かれるんですが、個人にはあまり興味がなく、群像というか、江戸時代そのものが好きなんです。江戸時代に行きたい、というより「江戸時代になりたい」というのが感覚的に近いです。

―いずみさんご自身、いつもステキに着物を着こなしていらっしゃいますが、自分らしいよそおいのポイントはどこでしょうか? もしも江戸時代にタイプスリップしたら、どんな暮らし方をされるんでしょうか?
洋服とはまた違ったおしゃれができるところです。季節のイベントカラーでまとめてみたり、電線柄の帯にカラスの帯留めをしたりなど、ちょっとした遊びを取り入れるのが好きです。楽しみつつも、あまり気負わずさらっと着たいですね。
江戸時代に行ったら、その時代の髪型、着付けをしてあちこち歩いてみたいです。棒手振りから商品を買ったり、へっついで煮炊きもしてみたいですね。かつて富士山が見えたスポットにも行ってみたい。でも、江戸時代に生まれてしまったら、むしろ当時の流行には興味を持たないような気がするので、現代に生まれて良かったかもしれないです。

―テレビでも江戸時代の特集番組や浮世絵番組が組まれ、芸術・アート系の番組も増えている印象がありますが、現代人にとって、江戸はなぜ魅力があるのでしょうか?
江戸文化というのは力強く、エネルギッシュなイメージがありますが、同時に花火のような一瞬のはかなさも感じます。それは、今よりも病気や火事が多く、いつ死ぬか、いつ財産を失うかわからない世の中で、まずは今日1日を楽しくたくましく生きよう、という江戸っ子気質がもたらしたものではないかと思います。現代はどうしても先のことを考えてしまい、不安になることも多いので、こうしたカラッとしたものを見ると元気が出るのではないでしょうか。あと他にも色々思うことはありますが(ホントはもっとしゃべりたい!)・・・長くなりそうなのでやめておきます(笑)

江戸美人ちゃんと現代女子ちゃんのメーク道具江戸美人ちゃんと現代女子ちゃんのメーク道具

―「ウチの江戸美人」執筆のための調査や打ちあわせなどで、いずみさんは何度もポーラ文化研究所にお訪ねくださっていますが、何か印象に残っていることはありますか?
一言で言えば天国です。書籍だけではなく、日本髪の見本や櫛かんざしなどの現物資料も拝見できますし、ポーラ文化研究所の方に詳しい説明をしていただけて、より深く江戸を知ることができました。江戸だけなく、ほかの時代や海外の資料があるところもいいですね。ミニ展示コーナーも毎回素敵なので、もっと宣伝してもいいんじゃないでしょうか!

―これまでの連載をふりかえって印象に残っていることがあればお聞かせください。
私は「好き」だけで走ってしまいがちなところを、非常に真摯に、正確な情報を集めてくださったことがとてもありがたかったです。例えば、時代劇などの影響で「これはAだ」と思い込んでいることを、鵜呑みにせずきちんと調べてくださって、いわゆる世間一般の定説と違うということを知ったことが何度もありました。WEB版のタイトルや解説はポーラ文化研究所の方に書いていただいているのですが、私の絵を見を見てイメージしているそうで、二人三脚で連載を作っているんだなあと感じています。また、担当の方だけではなく、他のスタッフの方も連載を楽しみにしてくださっているのが本当に励みになります。ありがとうございます。

―最後に、読者のみなさまにメッセージをお願いします。
江戸美人ちゃんと現代女子ちゃんをいつもあたたかい目で見守っていただきありがとうございます。みなさまのコメントがストーリーのヒントになることもあり、私も彼女たちのいちファンとして毎回楽しみにしています。ご意見ご感想が本当にありがたく、これからも頂戴できればうれしく思います。

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いずみ朔庵(いずみ・さくあん)
イラストレーター。着物や和柄など日本文化に関するものや、歴史、時代物を得意とする。特に江戸文化に造詣が深い。小説の装画、挿絵、マンガ、児童書、落語絵本など。「江戸文化喧伝家」を自称し、イラストに限らず企画、執筆、メディアでの江戸解説なども行う。また、アート作品も発表している。著書に「財布でひも解く江戸あんない~マンガで辿る江戸時代の暮らしと遊び~」。
いずみ朔庵HP➤http://www.sakuan.net

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