淑女のおしゃれ作法
婚礼化粧道具とは、江戸~明治時代にかけ、武家などの上流階級で結婚に際して調えられたものです。鏡や鏡台、櫛台や刷毛などの化粧道具を中心に、女性のたしなみに必要な道具で構成され、一式で数十点にのぼるものもあります。明治以降になると、お歯黒道具や眉作道具はなくなり、鏡の材質が金属からガラスに変化します。
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和裁は女性の教養のひとつでした。小さい頃から親や師匠から習っており、その意味でも婚礼道具には必要不可欠な道具であったといえます。色とりどりの絹糸と赤い針山が当時の色を伝えてくれます。
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折りたたみ式の絎台で、下部は座布団の下にはさんで安定させるしくみ。絎台に針山がついた形もありますが、これはシンプルな形です。布をピンと張りながら針を進めていく様子が浮かんできます。
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いつも身近に置き、懐紙などを載せたと思われる塗り物の台。櫛台ともよく似ていますが、柱のつくりが華奢になっていて、ひと回り小ぶりで洗練された印象です。
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化粧道具というよりも、香道の席で、香の名前を記したものでしょう。小さな硯と水滴が収納されています。江戸時代の婚礼化粧道具でも香道具の中に組み込まれているものが多いようです。
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お菓子を盛って客人に出す容器の一種。衣装箪笥に似せて小型につくり、漆を塗って家紋を入れました。小さな干菓子などを載せて使用したのかもしれません。
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江戸時代の型をそのまま踏襲しています。手ぬぐいが落ちないように留め具もついています。
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お歯黒に使う五倍子箱などがなくなり、代わりに銀製の化粧皿が登場するのが明治の化粧道具らしい特徴ですが、明治も中頃になると透明な瓶に入った化粧品が登場し、これらもやがて姿を消していきます。
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白粉を塗る際に使用した水刷毛、板刷毛、牡丹刷毛を吊り下げて水気を切るのための台です。牡丹刷毛だけ刷毛の色も違っていて新しいようです。頻繁に使っていたので後から買い替えたのかもしれません。
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櫛や化粧道具を上部の台部に載せたり、下部の引き出しに収納したりと身近に置いて便利に使用したようです。
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ガラス製の八稜鏡の縁は面取りがされていて、実用面だけでなく、菊結びされた華やかな赤い紐が道具の美しさを感じさせます。直径は約30cm、かなり重い鏡は、一枚は手に持ち、一枚は鏡掛に置いて使用したのでしょう。
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鏡の縁が面取りされ、丁寧に作られたものであることがわかります。縦20cmに満たない小ぶりの鏡は、口紅などをつける時、顔に近づけて使用したものかもしれません。
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ガラス鏡を掛けて使用したもので、座敷に置いておくだけでも優雅な気持ちにさせてくれます。身だしなみを整え、化粧や髪型、衣装などの最後のチェックをするのに便利な角度になっています。