日本の櫛・世界の櫛
アフリカの人々の毛髪は、縮れ毛(縮毛)、波状毛、直毛と多様であり、櫛はまず髪をほぐすために使われました。歯の粗い縦櫛が主流で、人物像、動物、鳥などが彫られています。彫刻には、先祖崇拝や呪術などが深く関わり、歴史や文化を反映しています。しかし、乾燥や害虫により古い櫛は多く破損してしまったようです。
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柄の部分の人物像の頭にはターバンのようなものが巻きつけられているようです。下部の幾何学模様は同じ部族を表しているのかもしれません。(アンゴラ)
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アンゴラ
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象の毛を巻きつけて模様をつくっています。髪をほぐすより飾り櫛として使われたのでしょう。(エチオピア)
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ガーナ、アカン語族
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勝利のVマークの印や愛情を示すハートマークの彫りが見えます。西洋文明から影響受けたようで、十字架や1950年の独立に勝利した時のVマークを表しているとも考えられます。(ガーナ、アカン語族)
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ガーナ、アカン語族
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ガーナ、アカン語族
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櫛の模様には写実も抽象もあり多彩です。木櫛は貴賤を問わず髪を編むようになると必ず使うものですが、年配の女性ではひそかに使うもののようです。首を強調した女性の頭部は豊穣、美、生命を表すとされています。(ガーナ、アカン語族)
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頭部は三角形で蛇の鱗のような模様が施されています。(ガーナ、アカン語族)
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シラ、ガロア族の女性は大変優美で、象牙などの透かし彫りのヘアピンを身につけたといわれています。(ガボン、シラまたはガロア族)
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フルベ族には専門の髪結いもいて、細い筋に髪を編んだり、ヘアピンを飾ったり、あるいはヘッドスカーフをかぶったりしたようです。(カメルーン、フルベ族)
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カメルーン、フルベ族
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カメルーン、フルベ族
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バウレ族の櫛には、祖先神の象徴ともいわれる人面や伝統的な幾何学模様が施されています。(コートジボワール、バウレ族)
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バウレ族の櫛には祖先神の象徴ともいわれる人面や伝統的な幾何学模様が施されています。首を強調した女性の頭部は子孫繁栄などを意味しています。(コートジボワール、バウレ族)
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人の横顔を表現しています。(コンゴ、ヤカ族)
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ヤカ族の特徴のひとつで、踊りのしぐさを示すように脚を曲げ、反り返った大きな鼻になっています。先祖崇拝の思いを表現しているようです。(コンゴ、ヤカ族)
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象牙製のヘアピンはマングベトゥ族のもので、男女ともに挿したといいます。頭部は身体の美学において中心となるもので、特に頭の形、髪型、ヘアピン、ハットピン、帽子、櫛を含む頭飾りは最も重要なものだったといいます。(コンゴ、マングベトゥ族)
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長い象牙製のヘアピンは特に威信を表し、富の象徴でもあったといいます。(コンゴ、マングベトゥ族)
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ヘアピンの円盤形の部分は、太陽の輝きを表すといわれています。(コンゴ、マングベトゥ族)
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コンゴ
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コンゴ
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コンゴ
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糸で緻密に編まれた櫛には紐がついており、体にぶら下げていたのかもしれません。編み目によって美しい模様が施されています。(コンゴ)
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コンゴ
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女性像が描かれた木櫛です。同様の櫛で、裏に動物が描かれているものもあります。(スーダン)
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スーダン
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ペジャ族の男性が腰に差している短剣と同じような形をしています。(スーダン)
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スーダンのベジャ族の櫛。そのほとんどが男性用のもので、乾燥を防ぐためなのか、表面にバターが塗られています。頭部に銀飾りがついた珍しいものです。
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スーダン
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スーダン
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スーダン
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幾何学模様の木櫛。(スーダン)
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強く縮れた髪をほぐすには黒檀のように堅く、重厚感のある木が最適です。歯の粗い方で髪をほぐし、細かい方で整えたり汚れを取ったのでしょう。柄の部分は細く彫られ、穴には紐を通して首からぶら下げたという説もあります。(タンザニア、スワヒリ人)
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強く縮れた髪をほぐすには黒檀のように堅く、重厚感のある木が最適です。歯の粗い方で髪をほぐし、細かい方で整えたり汚れを取ったのでしょう。やや角ばっているデザインです。(タンザニア、スワヒリ人)
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櫛に焼き跡をつける技法で装飾が施されています。(トーゴ)
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ヨルバ族は芸術的才能に秀でた部族として知られています。近代の美術品、木製の仮面や祖先像では人物の顔は目が非常に大きく顎が小さいのが特徴とされていますが、この櫛では、後年新しく彫られたようです。(ナイジェリア、ヨルバ族)
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頭部に人物像が施され、40センチという大きな寸法からもわかるようにかなり貴重なものです。(ナイジェリア)
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黒檀製の櫛には頭部に蛇の模様があります。蛇は知性、権力の象徴ともいわれています。(ナイジェリア)
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ナイジェリア
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ナイジェリア
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細い横木と丈夫な糸で裏面から歯を止め、ガラスビーズで表に幾何学模様を施しています。18~19世紀、貨幣として使用していたビーズを前掛けや櫛に用いており、多様な幾何学模様や配色に特有の美的センスを感じます。(マラウィ、ヤオ族)
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細い糸状にした真鍮で、櫛の歯となる木の部分を固定しています。(マラウィ、ヤオ族)
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マラウィ、ヤオ族
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マラウィ、ヤオ族
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縮れ毛の前頭部は剃り上げ、高く結いあげた頭頂部の髪を縛り、ヘアピンや櫛で飾りました。ところどころに象の毛を巻いて飾りにしています。(南アフリカ、ズールー族)
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南アフリカ、ズールー族
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南アフリカ、ズールー族
第一章日本-象牙の櫛
第二章日本-鼈甲、牛爪の櫛
第三章日本-木櫛
第四章貝、金属の櫛
第五章江戸時代の櫛
第六章明治時代の櫛
第七章大正時代の櫛
第八章昭和時代の櫛
第九章束髪、洋髪の髪飾り
第十章アフリカの櫛
第十一章オセアニアの櫛
第十二章古代の櫛