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2025.04.23
カラフルなドレスをまとったかわいらしい指人形にも見えるこの子たち。
実は「花の五つ子」という名前のついた香水セット。
左から、ガーデニア、ローズ、ヴァイオレット、
スイートピー、シプレという名の五つ子という設定で、
それぞれ違う香りが楽しめます。
1930~50年代のアメリカでは、
このような遊び心あふれるユニークな香水が数多く生まれました。
その背景にあったのは、
1920年代に始まったフランスの香水メーカーのアメリカへの進出です。
フランス製の高級香水がステイタスとして人気が高まり、
アメリカの香水市場が拡大。
その人気を受け、庶民のための低価格な香水が国内でつくられ始めました。
「花の五つ子」のように、
形の面白さや親しみやすさを優先したこれらの香水は、
雑貨店やドラッグストアなど手頃な価格で手に入る店で販売されます。
すると、これに目をつけたのがティーンたち。
自分用、友人や親など身近な人へのプレゼント用として人気を博しました。
10代の頃の化粧品への憧れや、早く大人になりたい気持ち。
そして、大切な人のためにプレゼントを選ぶ少年少女の姿。
この香水の背景にあるさまざまな想い想像すると、
懐かしく微笑ましい気持ちが湧いてきます。
香水瓶 「Floral Quintuplets(花の五つ子)」1936年
Photo YURI MANABE