040
2024.10.31
円形の羽根扇。無垢な白色と精緻に配置された、
いくつもの緑色の対比が鮮やかです。
さて、この鳥の羽根で作られた扇、いったい何種類の鳥の姿を思い浮かべますか...。
ホロホロ鳥、雄鶏、キジなど、複数の鳥から部位を選び、デザイン、色の演出をしています。
この扇、実は折りたたみ式です。
貴重なべっ甲に似せて作られた、当時の最新の素材、
セルロイドの持ち手をぐるりと広げると...360度円形に開き、
閉じれば小さく折りたためてバッグに収納できる、という機能性と装飾性を兼ね備えたもの。
扇は、10世紀頃に日本から中国に渡り、
東洋貿易によって16世紀ごろヨーロッパに広がります。
平安時代の檜扇のように薄い板状の骨をリボンなどでつなげた「ブリゼ式」、
扇面を折りたたむ「プリーツ式」、同じく折りたたみ式で円形に開く「コケード型」と分類されます。
この扇が生まれたのはフランス、1905年頃。
競うように羽根扇が作られ、雑誌広告にも登場します。
ベルエポック特有の、ウエストの細さを強調した、いわゆるS字シルエットのドレスが流行しますが、
曲線美を表現した柔らかなイブニングドレスの女性を華やかに飾った姿が目に浮かびます。
羽根扇 コケード型 1905年頃
Photo YURI MANABE