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社交を彩る黒いレースの扇

025

社交を彩る黒いレースの扇

2021.07.29

レースで草花を表現した扇。
扇面に描かれているのは
楽器を奏でる女性と妖精たちです。
扇を支えている骨は、優雅な曲線のべっ甲。
19世紀後半、フランスで制作されました。

黒い絹の糸を用いたこのレースは、
パリ郊外シャンティイ地方発祥の
「シャンティイ・レース」と呼ばれる最高級品。
ナポレオン三世皇后のウジェニー妃も愛用し、
19世紀のヨーロッパで流行しました。

黒いレース地にピンクのドレスが
鮮やかに浮かび上がる女性は
グワッシュ(水彩絵具)で描かれています。
ヴァイオリンを奏でるその姿は
音楽の女神・ミューズを連想させます。

19世紀後半、近代化が目まぐるしく進んだフランス。
万国博覧会が始まり、海外からの来賓が次々パリを訪れるなか
舞踏会や公的行事が頻繁に催されました。
往時の上流階級の女性たちは
たっぷりと布地を使ったドレスを身にまとい
こんな優美な扇を携帯したのかもしれません。
黒い色がアクセントになる
華やかなドレス姿を彩る扇です。

レースの扇・ヴァイオリン奏者と妖精 マリー・ロディーグ画 19世紀
Photo YURI MANABE

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