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2021.04.22
第一次世界大戦後、女性の社会進出が進んだ1920年代の欧米。
仕事にレジャー、ダンスなど、活動的になった女性たちの
服装や髪型、メークは大幅に変化を遂げました。
なかでも大胆なよそおいを楽しんだのが、
「フラッパー」と呼ばれた女性たち。
旧来の伝統的な価値観を捨て去り、
短く切り揃えたボブヘアにコルセットをとりはらったミニ丈のドレス、
はっきりとしたアイメークに真っ赤なルージュを引いて、
煙草を嗜みダンスやドライブを楽しむ...。
このコンパクトを愛用していたのは
そんなフラッパーの女性だったのかもしれません。
パウダー、リップスティック、シガレットケースが
セットになっているこのコンパクト。
外出先でも化粧直しができるコンパクトやスティック型の口紅は、
この時代に登場し普及した最新アイテムです。
シガレットケースもフラッパーの必需品。
どんなときにも自分らしくありたいと願った女性たちの思いから生まれた
化粧道具のイノベーションでした。
幾何学的な模様は、当時流行していたアール・デコスタイル。
エナメルや絹の房で華やかに装飾されています。
ケースには、当時めまぐるしい発展を遂げた
ガラス加工や金属加工の技術が用いられており、
デザインにもつくりにも、時代の最先端がつめこまれています。
アクティブに日々を楽しみ輝いた20世紀初頭の女性たち。
彼女たちの生活を彩り、寄り添ったこのコンパクトは
100年近く経ったいまでも驚くほど鮮やかです。
房付き幾何学文様トリプルコンパクト 1920~30年代
Photo YURI MANABE