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2020.10.08
生活の洋風化が進み、欧米風の文化が「モダン」なものとして
流行した大正後期から昭和初期。
この時代、都市部を中心に女性の働く場が広がります。
事務員やタイピスト、バスの婦人車掌など、就業した女性たちは
「職業婦人」と呼ばれました。
社会に出て、いきいきと活動し始めた女性たち。
そんな彼女たちの強い味方となったのが
化粧直し用のコンパクトです。
大正末期、ベースメークは粉白粉を水で溶いて使う方法から、
クリームを塗り、パフで白粉をはたく方法に変化します。
化粧法の革新により、やがて白粉がセットされた
国産コンパクトが登場しました。
この縞柄のコンパクトは、まさしくこの時代のものです。
十二単を思わせるような、鮮やかな色合いの布製ケース。
白粉の上には、リズミカルな模様のパフが置かれ、
小さなルージュとアイブロウも収められています。
仕事の休憩時間に、肌を整えルージュを塗る女性たち。
このコンパクトが、
女性たちの自信を後押ししてくれていたのかもしれません。
縞柄コンパクト、大正~昭和
Photo YURI MANABE