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2020.08.27
コバルトブルーの地の櫛に、対照的な橙色の蟹。
右の蟹は、葦の葉の影から出てきたところのようです。
蟹と葦が半立体的に浮き上がって見えるのは、高蒔絵で表現されているため。
青地の髪飾りはポーラ文化研究所の
櫛コレクションのなかでも珍しいものです。
水面を覗いた瞬間を閉じ込めたようなデザインのこの櫛は、
大正時代に使用されていました。
文明開化とともに西洋の影響を受けた髪型や服装が登場し、
徐々に浸透していった明治から大正の時代。
しかし、多くの女性たちは日常的に着物をまとい、
日本髪を結い続けました。
大正時代の初期には好景気を受け、
大胆な色や柄の着物が好まれました。
この櫛も夏のよそおいに合わせて
美しく結い上げた髪を涼やかに飾っていたのかもしれません。
青地蟹葦絵模様絵木櫛、大正時代
Photo YURI MANABE