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2020.01.30
江戸時代のベースメークといえば、白粉化粧。
当時の肌づくりに必要なアイテムが、
この三段に分かれた陶器「白粉三段重(おしろいさんだんがさね)」です。
三段ある陶器のうち、一番下の深い段には水を入れ、他の段に粉白粉を適量。
残りの一段は白粉の濃さを調整する
絵具のパレットのような役割がありました。
水で溶いた白粉は乾きやすいので、手早く
顔や襟足、首やデコルテまで塗っていきます。
鼻筋にはハイライト効果をプラスするため重ね塗り、
顔がより映えるように首は濃くするなど、
白一色でも立体感ある仕上がりを目指していました。
ところで元号「令和」の出典元である万葉集の一節、
「梅は鏡前の粉を披(ひら)き」の「粉」は白粉を指しています。
「梅が、鏡の前の白粉のように白く咲いている」
と、初春を彩る梅にも例えられるほど、
白粉は古くから日本の化粧に欠かせないものだったのです。
花文様白粉三段重(はなもんようおしろいさんだんがさね)、刷毛
江戸末期~明治
Photo YURI MANABE