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2019.10.31
両手に収まるくらいの小さなケースの中に、
ペンシルやさじ、ピンセット、はさみ、へらなどが収められています。
これは「パッチ化粧(つけぼくろ)」のための化粧道具。
16~18世紀のヨーロッパの貴族の間で、大流行したメークです。
ただの丸い「つけぼくろ」ではありません。
絹やヴェルヴェットで、丸はもちろん
星型やハート型、馬車型などの形を作り、顔に貼りました。
このケースは、蓋の上部分につけぼくろを収納できます。
パッチ化粧は白粉(おしろい)を塗った白い顔に黒い飾りを貼ることで、
より肌を白く見せる狙いがありました。
また、パッチを貼る位置によって意味を持たせたといいます。
例えば目尻だったら「情熱家」、唇は「色気」などのメッセージがありました。
肌を美しく見せるだけではなく、自分をアピールするためのメークだったのです。
パッチボックス、18世紀、イギリス
Photo YURI MANABE