20世紀前半の欧米では女性の社会進出が進んだほか、自動車の登場など移動手段が発達し、レジャーが人気を集めました。仕事や社交、余暇の場において女性の行動範囲が広がったことで、化粧はより一般的なものになります。本展示では、この時代の化粧品や販売用什器をご紹介しました。持ち運びが便利なコンパクトや、小さくまとまった化粧セットからは、急速に活動的になっていった当時の女性たちの姿を思い浮かべることができます。

品川区民芸術祭との連動企画として、「黒髪を彩る髪飾り」展を行いました。結い上げた黒髪の美しさを引き立てる櫛や簪などの髪飾りは、指輪やネックレスといったアクセサリーがなかった江戸時代において、女性のおしゃれに欠かせないファッションアイテムでした。鼈甲や象牙、金銀といった素材そのものが持つ質感と、蒔絵・螺鈿などの装飾技法を駆使して花鳥風月や四季折々の風物を表現した意匠について紹介しました。