西洋の扇
第九章 ファッションの変遷と扇
16世紀後半~1920年代までの扇のよそおいを年代順にご紹介。盛装、外出時、舞踏会など、さまざまなシーンで扇は必需品であり、扇を手に持ち着飾った女性のしぐさの美しさが伝わってきます。また、扇の操作を50種類ほど紹介した扇ことばの手引書も出版され、コミュニケーションの手段として活用されました。
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1835年 / 1835
16-17世紀のよそおい(『ザ・レディーズ・マガジン・アンド・ミュージアム』1835年より)
Fashion in the 16th - 17th century, from The Lady's Magazine and Museum, 1835
1572年、フランス王アンリ4世と結婚したヴァロアのマルグリット。樽型ドレスに、高くそびえるラッフ襟は権威を示しています。手袋をした手に扇を持っています。
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1662年 / 1662
17世紀のイタリア女性のよそおい
Fashion in 17th century Italy
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1888年 / 1888
フォンタンジュの髪型につけぼくろ化粧の女性(『服装の歴史』ラシネ著、1888年より)
Women with a Fontange hairstyle and “patches” (small black adornments on their faces), from Le costume historique, by Racinet, 1888
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1888年 / 1888
1770年代のロココスタイルのよそおい(『服装の歴史』ラシネ著、1888年より)
Rococo-style fashion in the 1770s, from Le costume historique, by Racinet, 1888
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1807年 / 1807
エンパイアスタイルのドレス(『ザ・レディーズ・マガジン』1807年より)
Empire-style dresses, from The Lady's Magazine, 1807
帽子着用しているので、散歩用の装いでしょうか。エンパイアスタイルが全盛の頃です。
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1837年 / 1837
ロマンチックスタイルの盛装(『ザ・レディーズ・マガジン・アンド・ミュージアム』1837年より)
Best clothes in the Romantic style with personal accessories, from The Lady's Magazine and Museum, 1837
髪に大きく華やかな羽根飾りをつけ、左手に扇を持っています。1830年代後半になるとスカートが大きくふくらんでいきます。
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1840年 / 1840
ロマンチックスタイルの盛装(『ル・ボン・トン』1840年より)
Best clothes in the Romantic style with personal accessories, from Le bon ton : journal des modes, 1840
白いドレスに、ピンクのコサージュをあしらい、小さな髷に編み毛を添えたり、コルクスクリューのような巻き毛を両サイドに垂らしたり。後ろ向きの女性の髷には玉飾りつきのボール・コームが挿されています。手に扇やブーケを持つことが流行しました。
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1855年 / 1855
ロマンチックスタイルの盛装(『ル・モニチュール・ド・ラ・モード』1855年より)
Best clothes in the Romantic style with personal accessories, from Le moniteur de la mode, 1855
飾りの色や文様をそろえた洗練されたよそおい。緑色のイブニングドレスの女性は右手に扇、左手にハンカチを持っています。ブレスレットは両手につけるのが基本。低い位置に髷をまとめ、花飾りをつけています。
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1856年 / 1856
ロマンチックスタイルの盛装(『ル・モニチュール・ド・ラ・モード』1856年より)
Best clothes in the Romantic style with personal accessories, from Le moniteur de la mode, 1856
4段の花飾りをあしらったイブニングドレスにロングネックレス、ブレスレットをつけ、扇を持つ女性とボンネットをつけた女性。鍵盤楽器には譜面が見えます。
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1868年 / 1868
クリノリンスタイルの盛装(『ル・モニチュール・ド・ラ・コワフュール』1868年より)
Best clothes in the crinoline style with personal accessories, from Le moniteur de la coiffure, 1868
戸外で語らう2人。左の女性は緑色でドレスの縁飾りと扇の色をそろえています。黒いショールの女性は、リボンのベルト、髪飾り、ドレスの縁飾りの赤色で色彩の対比をさせています。
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1870年 / 1870
バッスルスタイルの盛装(『ル・モニチュール・ド・ラ・コワフュール』1870年より)
Best clothes in the bustle style with personal accessories, from Le moniteur de la coiffure, 1870
ピンクのドレスの少女もバッスルスタイルの母親に負けない最新流行のスタイル。ドレスとおそろいの扇を開いて話しかけているようです。女性は双眼鏡を手にしながらも娘と会話をしているのでしょうか。
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1870年 / 1870
バッスルスタイルの盛装(『ル・ジュルナル・デ・ダーム・エ・デ・ドモアゼル』1870年より)
Best clothes in the bustle style with personal accessories, from Le journal des dames et des demoiselles, 1870
2人とも手袋をした手に扇を持っています。午後の晩餐会でしょうか。リボンのチョーカーやリボンにペンダントをつけ、大きなピアスをしています。髪飾りはドレスと同じ色を選んでいます。
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1889年 / 1889
冬の外出着姿の親子(『ル・ジュルナル・デ・アンファン』1889年より)
Mothers and children in outdoor winter clothes, from Le journal des enfants, 1889
毛皮の襟巻付きのドレスに手袋を着け、手には扇を持っています。バッスルスタイルの終焉となる頃です。
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1894年 / 1894
リゾート地の砂時計形ドレス(『ル・モニチュール・ド・ラ・モード』1894年より)
Hourglass-shaped dresses in a resort, from Le moniteur de la mode, 1894
首まである日中用ドレスに扇を持ち、砂浜の椅子に座って憩う2人。海上にはヨットが浮かび、海岸にはパラソルが見えます。アールヌーヴォー・スタイルの初期は、このように大きな袖と細く絞ったウエストが特徴です。
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1895年 / 1895
都会生活のドレス(『ル・モニチュール・ド・ラ・モード』1895年より)
Dress in urban life, from Le moniteur de la mode, 1895
砂時計型ドレスの大きな緑の袖には赤い薔薇の飾りがあります。どちらもベルベット地で、胴部分は白のサテン地のようです。
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1903年 / 1903
砂時計形ドレス(『ジュルナル・デ・ドモアゼル』1903年より)
Hourglass-shaped dress, from Journal des demoiselles, 1903
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1905年 / 1905
夜会服と午後のドレス(『フェミナ』1905年12月15日より)
Evening dress and one for the afternoon, from Femina, December 15, 1905
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1912年 / 1912
劇場のドレス(『フェミナ』1912年6月15日より)
Dresses for theater-going, from Femina, June 15, 1912
左の女性はイブニングドレスに流行の羽根扇を持っています。右は午後のドレス。この頃になるとウエストがゆったりし始めます。
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1912年 / 1912
1812年-1912年、女性のドレスのシルエットの変化(『フェミナ』1912年8月15日より)
Changes in the silhouette of women's dresses from 1812 to 1912, from Femina, August 15, 1912
19世紀から20世紀へ、女性のドレスのシルエットは大きな変化を遂げます。このような変化の中でも、扇は女性のよそおいの重要な要素であり続けました。
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第一章神話を描いた扇
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第二章グランドツアーの扇
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第三章中国の扇
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第四章デュヴェルロワの扇、マルタンの扇
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第五章広告用の扇
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第六章ファッション誌にみる扇の広告
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第七章シーンに合わせた扇
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第八章素材さまざま
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第九章ファッションの変遷と扇