西洋の扇
扇は結婚式、狩猟、服喪など、生活のシーンに合わせ、適切な素材、絵柄でつくられました。婚礼には特に多くの扇がつくられ、女性参列者に配布した記念品の扇、新郎が新婦に贈る贅を尽くした扇(ブライダルファン)などで、天使、キューピッド、幸福の象徴である二羽の鳩など愛を祝福する絵柄が表現されています。
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狩猟時の夕食会に用いられた扇です。騎乗した主人を見る猟犬、グレーの乗馬服で横のりする女性、赤いジャケットと白いパンツの狩猟服を着て、猟犬を伴い騎乗する男性など狩猟の様子が描かれています。
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ドゥミ・ドゥイユと言われる2番目の時期の喪中用。最初は黒く光沢のないウールの服、ツヤのない宝石しかつけることができませんでしたが、この時期には黒以外のグレー、色、光沢ある黒い衣服や宝石をつけることができました。腰掛ける男女が描かれています。
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天蓋と文様のない盾文様は婚礼用扇の特徴です。中国からの輸入品で、購入時には花嫁のモノグラムを刻みます。
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ニードル・ポイントの高級レース製。中央には竪琴と薔薇の花束が描かれます。婚礼用に新婦に贈られ、披露宴に持参されたと思われます。
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オランダ扇には、しばしば聖書を題材にしたものがあり、教会に行く際に使用しました。中央は駱駝に水をやるリベカとエゼキエル。左の羊飼いはリベカの未来の夫イサク、右はリベカを迎えに行くエゼキエル。駱駝は花嫁の贈り物を積んでいます。
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愛の館の前でコルヌミューズ奏者が新婚カップルを祝っています。左はブランコで戯れる男女、右は傘をさし羊の番をする女性。女性はみんな真っ赤な頬紅化粧をしています。裏は花の女神フローラが花籠を持ち、キューピッドと贈り物交換をしています。
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カブリオレ型。譜面を読み、リュートと思われる楽器演奏をし、冠をかぶり矢を射る、花輪と戯れる20人の妖精たち。花輪飾り、リボン、松明、結婚指輪の枠装飾です。裏は鳩と戯れる妖精。
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花冠をかざす天使、愛の祭壇に火をともすキューピッドは結婚式・婚礼用扇を象徴する図柄。幸福の象徴である2羽の鳩が描かれ、背景には愛の神殿が、雲上ではヴィーナスが見守ります。骨には青ガラスが施されています。
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中央は結婚する二人。左にはえさを与える少女、右は柱にもたれかかる男性。透かし模様を施したカニヴェ紙は主にオランダで使用されましたが、金を施したものはイギリス製に多くみられます。親骨にはロココ様式のアラベスク文様と中国風家屋が施されています。
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井戸の側に麦の穂を握る女性と羊飼い、周囲は刈り取りをする農夫のいる畑などの風景。刈り取りするボアズにルツが一目ぼれをして求婚する『旧約聖書』のエピソードを描いた扇です。オランダ製には愛の祭壇、結婚に関する神話や聖書を題材にしたものが多くあります。
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第一章神話を描いた扇
第二章グランドツアーの扇
第三章中国の扇
第四章デュヴェルロワの扇、マルタンの扇
第五章広告用の扇
第六章ファッション誌にみる扇の広告
第七章シーンに合わせた扇
第八章素材さまざま
第九章ファッションの変遷と扇