西洋の扇
16世紀のポルトガル人の中国進出によって、折りたたみ式の扇というスタイルを知って以来、ヨーロッパでは扇は目覚ましい発展をとげたといわれています。その後も、17世紀末~18世紀初、東インド会社の隆盛により中国製扇の輸入が広がったといいます。象牙、鼈甲の透かし彫りの細工の妙には目をみはるものがあります。
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中国あるいはマカオで製作された扇。70名を超える多彩な人物が描き込まれています。
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絹の扇面に、人物の顔には彩色された象牙を、衣服には布を貼っています。彩色された象牙で数多くの人々を表現した扇は、「百人の顔、千人の顔」などとよばれました。
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小邸、庭、岩、小船などのモチーフは、緑、青の琺瑯引き。金線細工の広東扇はヨーロッパで人気を博しました。
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中央はパゴタのある風景、両脇は花つきの枝、壷模様。新古典主義の幾何学的装飾は19世紀初頭に流行しました。
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「S.L.O.」のモノグラムが入っており、特別注文のようです。リボンで綴じた先の部分はダリア風文様で親骨は虫食い装飾。扇面にはマーガレット、水仙と思われる花や蜻蛉、鳥のモチーフを施されています。
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東屋、橋、小船などのある庭園を散策する人々が透かし彫りで表現されています。
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扇面に描かれた楽器奏者や巨大な龍をあやつる人物などは、中国の正月風景を表現していると考えられます。
第一章神話を描いた扇
第二章グランドツアーの扇
第三章中国の扇
第四章デュヴェルロワの扇、マルタンの扇
第五章広告用の扇
第六章ファッション誌にみる扇の広告
第七章シーンに合わせた扇
第八章素材さまざま
第九章ファッションの変遷と扇