美しさへの挑戦
近代に入り、いわゆる日本髪から束髪へ、さらに洋髪へと変化していきましたが、こうした髪型の背景には髪飾りの発達がありました。明治中頃にはセルロイドが輸入され、色や形も自由になりました。また、束髪の登場にともなって櫛・笄の出番が少なくなって洋髪用の簪が登場するなど、髪型とともに髪飾りも変化していきます。
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髷の根を高く結いあげた上品な髪型として長く愛されてきました。現在でも花嫁の正装として結い続けられています。
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17、8歳の娘たちが結った髪型。髷を二つに分けて左右に丸く輪を作り結い上げています。髷の下の部分が、桃を割ったように見えたことからその名がつきました。
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このまあがれいとは、日本で初めて結われた三つ編で、軽快で若々しい印象に人気が集まりました。またリボンの流行も人気に拍車をかけていました。
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大正9年(1920)頃から束髪が欧風化し、鏝でウェーブをつけ、耳を隠した髪型が大流行しました。モダンで着物にも洋服にもよく似合う髪型でした。
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帝劇女優などが結い始めた髪型です。明治時代末期の廂髪から赤熊(しゃぐま)を取り除いたもので、前髪を割ったところが最先端ともいわれました。女優への憧れもあったのでしょう。
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髪の先がどこにいったのかわからないことから、この名前がついたといわれます。ウエートレスなどの当時注目された職業婦人が結い始め、その後一般女性に広まっていきました。
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雅楽のかぶりものの鳥兜と『源氏物語』の紅葉賀を題材にした櫛・笄です。金地に螺鈿で描かれた模様が豪華さを際立たせています。
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銘:清静。落ち着いた地色に、富士山と龍が描かれている模様はどこか男性的な感じがします。素人の女性が身につけたというより、粋筋の女性が挿したものかもしれません。
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銘:永政
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銘:晋高名。この櫛の丸い形は、明治時代特有のもので、豪華な金蒔絵を菊と御所車が描かれ絵います。普段使いというよりは、外出時に使用したものと思われます。
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金蒔絵だけのセットと金蒔絵に螺鈿の蝶が嵌め込まれた櫛・笄のセットです。黒髪には金蒔絵が美しく映えることを女性たちはよく知っていたのでしょう。
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鼈甲に似せて作られた擬甲というのが大正時代に流行しました。この櫛の模様は、南天に雪が覆っているもので、よく描かれていた意匠です。
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櫛としては珍しい鮮やかな青色に、蟹と葦が描かれています。季節は夏に挿したものでしょうか。細工も凝っていて、水辺の涼やかな光景を想起させます。
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鼈甲に金蒔絵で鶴をあしらった櫛と笄。鶴は吉祥模様であるところから、結婚した若妻が丸髷などに挿したものかもしれません。
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龍の落とし子が立体的に彫られている象牙の洋櫛です。収納されていた箱には「鹿鳴館舞踏会 洋髪用飾櫛」と書かれています。洋装に似合う夜会巻などを飾ったのかもしれません。
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螺鈿の桜を配した扇面模様の櫛・笄です。
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鮮やかに彩られた瓢箪の絵柄の櫛・笄のセットで、昭和に入ってから作られたものです。若い女性の桃割などに似合いそうな若々しいデザインです。
第一章化粧道具
第二章近代の化粧 明治~大正時代
第三章コンパクト
第四章近代の化粧 昭和時代
第五章鏡と鏡台の変遷
第六章江戸時代の髪型と髪飾り
第七章近代の髪型と髪飾り
第八章装う
第九章千代田の大奥