はじまりの美学
化粧の起源は古く、旧石器時代ともいわれています。古代の遺跡からは人々が実際に化粧をしていた痕跡や数多くの化粧道具が発見されていますが、今期はそうした古代の化粧道具を展示します。また原始から現代に続く化粧の意味や目的をパネルでご紹介。古の化粧や人々の美意識に迫る機会となることを企図しています。
×
古代エジプトの鏡は青銅などの合金で作られていました。手鏡はやや横長の楕円形のものが多く、柄の部分には、この鏡のように人物像や花などに加え、鏡に映る人の美しさをより引き立たせるためでしょうか、醜い怪物もモチーフとして登場します。
×
手鏡を持った天使と女性像が、ギリシア陶器特有の赤と黒の2色で描かれています。人間と香りの関わりは古く、旧約聖書やギリシア神話のなかにもいろいろな香料が登場しています。
×
×
テラコッタ製のパレット。下の溝の部分で化粧料を混ぜ合わせたり、油で溶いたりして使用したと考えられます。装飾性と実用を兼ね備えたパレットです。
×
×
×
魚の形を模した石製のパレットです。平らな面で顔料、樹脂、油剤などを混ぜて化粧料を作ったと考えられます。上部に小さな穴があり、ひもを通して携帯することもできたようです。
×
高温かつ乾燥という厳しい気候環境から肌を保護するため、古代エジプトの人たちにとって軟膏や化粧油を塗ることは大事な習慣でした。油分が多く、揮発性が低い化粧料の保存には、こうした蓋のない容器が多く使われていました。
×
蓋付きの化粧容器。高い気密性はなく、揮発しにくい軟膏などを入れていたと考えられます。
×
×
×
2本の筒が一緒になった形をしています。2つの穴には2色のコールが入っていたと考えられ、濡らしたスティックを挿し入れ、少量のコールを取り出して化粧をしていたようです。コール壺には、3穴4穴というものもあります。