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2020.02.27
何気ない服装でも、指輪やネックレスなどでアクセントをつけると、ちょっと上品な雰囲気にアップ。アクセサリーはおしゃれの楽しみのひとつではないでしょうか。江戸女性の着物ファッションで着こなしのスパイス的役割を担ったのが、簪・笄・櫛(かんざし・こうがい・くし)などの髪飾りでした。
鼈甲製櫛・簪・笄 江戸時代後期
簪は、シンプルなものから、花簪やびらびら簪と呼ばれる飾りつきのものまでさまざま。棒状の髪飾り、笄は、髷(まげ)の中に挿して使うほか、髪をぐるぐると巻きつけるといった使い方も。また櫛には、髪をとかす梳櫛や解き櫛のほか、髪を飾ることを目的として作られた飾り櫛があり、時代によって形の流行もありました。
どの髪飾りも細工や素材の質によって値段はピンキリ。たとえば鼈甲(べっこう)の髪飾りだったら、まだらの黒い斑点、斑(ふ)が少ないほど上質でした。また、大きい方が上等とされ、より豪華な髪飾りに女性たちは胸を焦がしました。とはいえ、高価なものは、"お米何ヶ月分"なんていう到底手が出ないもの。きっとそこは現代の私たちと同じで、お財布と相談して、ベストな一品を選ぶのも楽しいことだったのでしょう。
次回は第3回に登場した唐輪髷に続く、江戸時代の基本的な髪型のひとつ「兵庫髷(ひょうごまげ)」をご紹介します。
びらびら簪 江戸時代末~明治時代
※このコンテンツは2015 年から2018 年にポーラ文化研究所Web サイトにて連載していた「やさしい日本髪の歴史」を2019 年から2023 年まで一部改訂再掲載したものです。