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2020.01.16
今回のキーワードは日本髪を構成する「髪の部位」。
髪型を判別するときのポイントになりますから、じっくり観察してみてください。
日本髪は、大きく四つのパートに分れています。まずは第三回でお話した「髷(まげ)」、それからご存知「前髪(まえがみ)」。では「鬢(びん)」はというと? 顔の両サイドの部分を指します。そして「髱(たぼ)」は襟足に近い部位で「つと」とも呼ばれています。鬢と髱は日本髪ならではの部位なので、要チェックです。
江戸時代の前半、髷(まげ)の形で髪型のバリエーションが分れていましたが、次第に凝った髪型になるにつれ、鬢(びん)を大きく横に張り出したり、髱(たぼ)を鳥の尾のような形に後に伸ばしたり、これぞ芸術! と思わせる美しく技巧的な髪型が誕生していきました。
春信風島田髷 明和(1764~1772)
鈴木春信の描いた浮世絵をもとにして作られた髪形。
こうした日本髪を結うのに欠かせないアイテムが「元結(もとゆい、もっとい)」と「鬢付け油」です。元結は細いひも状に撚った紙で、伸縮性はありませんが、今でいう髪を結ぶゴムの役割をしたもの。髪をきつく結うことができます。鬢付け油は髪をワックスのように固める整髪剤として使われました。現在、お相撲さんが髷を結うときに使っている整髪油も鬢付け油です、独特なよい香りがします。
髪結い道具一式
左側にあるのが黒と白の元結。
※このコンテンツは2015 年から2018 年にポーラ文化研究所Web サイトにて連載していた「やさしい日本髪の歴史」を2019 年から2023 年まで一部改訂再掲載したものです。