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2020.11.12
江戸時代、女性の髪型はおしゃれのほかに、その人がどんな身分や年齢、ライフステージにいるのかを示すものでもありました。髪型を見れば、その人が未婚か既婚かひと目でわかったのです。というのも江戸時代には元服(げんぷく)というしきたりがあり、ある程度の年齢、婚期を迎えると眉剃りやお歯黒など、よそおいも変化するというならわしでした。そして結婚すると未婚のときとは違う髪型に変えていたのです。
《時代かがみ 文政の頃》 楊洲周延 明治29~30年(1896~1897)(国文科学研究資料館撮影)
具体的な例をみてみると、まず少女の時代の髪型といえば、稚児髷(ちごまげ)。頭のてっぺんにふたつの輪をつくり髷とし、髷の根元に毛先をまきつけた髪型です。なるほど、見るからにかわいらしい印象です。その後、結婚するまでの娘時代には、第7回でご紹介した島田髷が一般的でした。そして結婚後の髪型は丸髷(まるまげ)が主流。丸髷は年齢によって髷のサイズに違いがみられます。髷は髪が豊かな若い人ほど大きく、年配になると小さくなっていったのです。また、手絡(てがら)といって、髷の根元にかける飾り布も若い人は赤系、年配者は水色系と違っていました。見た目で未婚か既婚か、年齢までもわかってしまう...日本髪恐るべし!です。
丸髷 江戸時代末期~明治時代
ふっくらと大きな髷に、赤いサンゴや絞り手絡の華やかな髪飾りをつけた若い既婚者。
※このコンテンツは2015 年から2018 年にポーラ文化研究所Web サイトにて連載していた「やさしい日本髪の歴史」を2019 年から2023 年まで一部改訂再掲載したものです。