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2019.03.14
江戸時代の女性たちは、現代を生きる私たちと同じように様々な道具を使いながらメークを行っていました。
そしてその道具の見た目も、好みのものを選んで使用していたようです。
前回ご紹介した、江戸時代のベースメーク「白粉」(おしろい)。白粉は紙製のパッケージ「白粉包み」に入って販売されていました。その銘柄は様々なものがあり、上等な高級品から手に取りやすい安価なものまで幅広く揃っていたといいます。
この白粉包みのパッケージには、浮世絵師が描いた人気役者の絵柄や、小野小町を連想させる美人画、白さをイメージさせる雪などが刷られました。江戸時代の女性たちも、自分好みのパッケージを選んで購入していたと考えられています。
購入した白粉は、「白粉三段重ね」と呼ばれる三つ重ねられた陶磁器をパレットのように使用します。器の中で白粉を水で溶き、ベースメークに使用したほか、仕上げには粉の状態で肌にはたくこともありました。この器には花や植物、鳥などが描かれており、シンプルなものから華やかなものなど様々なデザインが見られます。
そして白粉を塗るときに活躍するのが「白粉刷毛」(おしろいばけ)です。板刷毛、水刷毛、牡丹刷毛、ほほ刷毛などの種類があり、つける部位や順序によって使い分けられました。
お気に入りの化粧道具を揃えて鏡に向かう姿は、江戸時代と現代とで変わらない光景だといえるでしょう。
白粉や化粧道具についての詳細はこちらの動画もご覧ください。
《江戸名所百人美女 柳はし》 三代歌川豊国 安政5年(1858)
襟足の白粉の塗り具合を確認している女性。鏡台の手前に牡丹刷毛が置かれている。