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2021.03.25
20世紀初頭の新しいファッションやヘアスタイルについて、今回ご紹介するのは、現代ではすっかりおなじみのボブヘアです。
第一次世界大戦の影響を受けて登場したといわれているボブヘア。その始まりは、髪の毛を短く切り、カールをつけた従軍看護婦の髪型が原型という説などがあります。
戦後、1920年代になると、短いボブヘアに直線的なロー・ウェストの膝丈スカートを合わせる少年のようなスタイル「ギャルソンヌ・スタイル」がフランスで流行します。これは1922年刊行のヴィクトール・マルグリットによるベストセラー小説『ギャルソンヌ』にちなんだ呼び方。この小説の主人公のような短い髪に活動的なファッションは、社会進出を果たした新しい時代の女性の姿そのものでもありました。
とはいえ、この時代においても髪をばっさり切るということは非常に勇気がいること。そこで生まれたのが、長い髪をまとめてボブ風に見せる髪型です。少し手間のかかる結い方ですが、それでもボブ風に見せたいという女性たちのおしゃれ心がうかがえます。
このようにボブヘアが流行したことで、長い髪の毛を彩る髪飾りの需要は一時減少しました。しかし戦争の傷が癒えてきた1920年代にその人気が再燃。その背景には夜会でのイブニングドレス着用が解禁されたことがありました。ウェーブさせた髪型をボブ風にまとめ、大きな櫛をアクセントに飾るスタイルはヨーロッパやアメリカで大流行し、夜の社交界を華やかに彩りました。
女性たちが社会に進出し、活発に活動し、思い思いの髪型やおしゃれを楽しんだ20世紀初頭。この時代に登場したファッションやメーク、そしてヘアスタイルは、現在でも世界中で愛されています。
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古今東西よそおいの歴史をご紹介する「お化粧ヒストリー」、西洋のよそおい入門編は今回で最終回です。次回からは日本に戻り、文明開化後のよそおいをご紹介します。お楽しみに!
『フェミナ』 1927年11月6日