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2021.01.28
第19回でご紹介したように、19世紀後半にマルセル・グラトーが考案した「マルセル・ウェーブ」の登場により、髪を波立たせるウェーブヘアが女性たちの心をとらえました。20世紀になると、このウェーブヘアがさらに進化を遂げます。
それは1906年頃にイギリスで考案されたパーマネントウェーブ。マルセル・ウェーブは熱したコテで髪を波立たせるもので、すぐにウェーブが取れてしまうものでした。しかし、ドイツ人のチャールズ・ネスラーが、ホウ砂パッドとガスヒーターによってウェーブヘアを保つパーマネントウェーブの技術を発表したのです。
ところが、当初ヨーロッパではこの技術は受け入れられず、ネスラーが成功を収めたのはアメリカに渡って事業を本格化させてからのことでした。というのも、このネスラーが考案したパーマネントウェーブは高価だったことに加え、施術には10時間以上もかかったそうです!このような手間と金額の問題から普及するのには時間を要し、一般の人が試せるようになったのは第一次世界大戦後のことでした。
1910年代頃に流行していたヘアスタイルは、マルセル・ウェーブで波打った髪を結い上げるポンパドールがさらに進化したもの。入れ毛を使い、前髪やサイドにボリュームを持たせるスタイルが人気を集めたのち、やがてそのふくらみが収まるように小さく結う髪形が流行しました。
その後、第一次世界大戦を経て、人々のよそおいに大きな変化が訪れたことは第20回でもご紹介したとおり。この時代は、髪形の歴史にとっても大きな転換点となりました。それはパーマネントウェーブ同様、現代ではすっかりおなじみのボブヘアが登場したことです!思い切って髪を短くする女性もいた一方、ボブヘアにしたいけれど、長い髪が当たり前の時代にばっさり切るには勇気が必要だった時代......。そこで短く見えるように髪を結い上げる「ボブ風」ヘアスタイルも登場しました。
次回はそんな画期的なヘアスタイル、ボブヘアについてご紹介します!
『シック・パリジャン』 1910年代