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2019.11.14
日本でも知名度抜群のフランス王妃、マリー・アントワネット(1755~93)。そのファッションとして思い浮かぶのは、豪華絢爛なドレスに大きな髪型、真っ白な肌にバラ色の頬......贅を尽くしたそのよそおいは、たびたびマンガや映画などでも取り上げられてきました。
今回はマリー・アントワネットが生きた18世紀フランスの上流階級の女性たちのメークをご紹介します。
ドレスのボリュームが増し、髪型がどんどん大きくなっていった時代。趣向を凝らしたドレスや髪型は、競い合うかのように派手に、華やかになっていきます。なかでもマリー・アントワネットは、お抱えモード商のローズ・ベルタンのドレスをまとい、ファッションリーダーとして流行の最先端にいました。
そんな時代のベースメークは、鉛白粉をたっぷり塗った白い肌がスタンダード。
さらに18世紀前半には静脈を青くなぞることで、より肌を白く見せるように強調させることが流行したといいます。前回ご紹介したパッチ化粧同様、白い肌を重要視していたことがうかがえます。
やがて18世紀後半になると、白い肌に濃い赤の口紅、バラ色の頬紅というメークが流行しました。エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランによるマリー・アントワネットの肖像画を見ても、そのようなメークをしていることに気がつくのではないでしょうか。
実はこの時代、水を使って体を洗うという習慣がありませんでした。そのため、化粧によってより肌を白く美しく見せる必要性があったのです。
また、香りも重要な身だしなみのポイント。ルイ16世の代までは動物性の香りが人気を集めていましたが、マリー・アントワネットは花の香りを愛し、すみれやバラといった植物性の香りを宮廷に普及させました。
そして化粧同様、香水で体の匂いをカバーしていたという側面もあります。
華やかなよそおいには様々な工夫があり、次々と新たな流行が生まれたのです。
次回はこの時代のファッションの主役ともいえる、巨大な髪型についてご紹介します。お楽しみに!
『ギャルリー・デ・モード』
1780年代のよそおい。巨大な髪型に、両脇に大きく膨らませたスカートが特徴。